ブルーノート入門!ジャズ初心者がまず聴くべき名盤レーベルの傑作7選

モダンジャズの黄金期を築き上げ、世界中の音楽ファンを虜にし続ける伝説的レーベル「ブルーノート(Blue Note Records)」。

ジャズに少しでも興味を持った方なら、誰もが一度はそのスタイリッシュな青いロゴや、洗練されたジャケットデザインを目にしたことがあるはずです。しかし、いざ聴いてみようとCDショップや音楽配信サービスを開くと、膨大なカタログを前に「どれから聴き始めればいいのかわからない」「専門用語が多くて敷居が高そう」と足踏みしてしまう方も少なくありません。

結論からお伝えすると、ブルーノートはジャズ初心者にこそ最もおすすめしたいレーベルです。なぜなら、親しみやすくキャッチーなメロディ、思わず身体が揺れるグルーヴ、そして何十年経っても色褪せない圧倒的な熱量が、このレーベルのレコードには凝縮されているからです。

この記事では、ブルーノートが「ジャズ最強のレーベル」と称賛される理由をわかりやすく紐解きながら、初心者が絶対に聴くべき名盤7選を徹底解説します。紙のライナーノーツをじっくり読むような感覚で、奥深いモダンジャズの世界への第一歩を踏み出してみましょう。

## ブルーノート(Blue Note Records)とは?ジャズ最強レーベルと呼ばれる3つの理由

ブルーノートは、1939年にドイツからアメリカへ亡命してきた二人の青年、アルフレッド・ライオンとフランシス・ウルフによってニューヨークで設立されました。

当時の大手レコード会社とは一線を画し、彼らが目指したのは徹底して「自分たちが心から愛する本物のジャズを世に残すこと」でした。ブルーノートが数多のジャズレーベルの中で特別な存在となった背景には、揺るぎない3つの理由があります。

### 1. 創設者アルフレッド・ライオンの妥協なき「ミュージシャン・ファースト」の精神

ブルーノートの最大の功績は、演奏者の創造性と自主性を極限まで尊重した「ミュージシャン・ファースト」の制作体制を確立した点にあります。

当時のジャズ界において、レコーディング前のリハーサルに報酬が支払われることは極めて異例でした。多くのレーベルはコスト削減のためにスタジオにミュージシャンを集め、ほぼぶっつけ本番で録音を行うのが当たり前だった時代です。

しかし、アルフレッド・ライオンは演奏の完成度に妥協を許しませんでした。本番録音の数日前から綿密なリハーサル日を設け、ミュージシャンたちに正規のリハーサル料を支給したのです。この丁寧な準備期間があったからこそ、プレイヤー同士の濃密な意思疎通が可能となり、複雑なオリジナル楽曲でも寸分の狂いもないアンサンブルと熱いアドリブの応酬が実現しました。

さらにライオンは、ミュージシャンに対して「売れる曲を作れ」と強制することは一切せず、「自分が本当に演奏したい音楽」を自由に表現させました。この揺るぎない信頼関係が、才能ある若手プレイヤーたちのモチベーションを最大限に引き出したのです。

### 2. 名録音技師ルディ・ヴァン・ゲルダーが創り出した「生々しい音圧とパンチ」

ブルーノートを語る上で絶対に欠かせないキーパーソンが、伝説的録音エンジニアのルディ・ヴァン・ゲルダー(Rudy Van Gelder、通称RVG)です。

昼間は検眼医として働きながら、夜になるとニュージャージー州ハッケンサックの自宅リビング(後にイングルウッド・クリフスに専用スタジオを建設)にミュージシャンを招き入れ、数々の歴史的セッションを記録しました。

ヴァン・ゲルダーの手によって生み出されたサウンドは「RVGトーン」と呼ばれ、以下のような比類なき特徴を持っています:

– 目の前で弾けるシンバルの金属音:ハイハットやライドシンバルのアタック音が鮮烈で、ドラマーのスティックのしなりまで見えるような解像度。
– 空気を揺らすベースの図太いアタック:ベースの低音弦が指板に当たる生々しい感触と、豊かで力強い胴鳴り。
– 前に飛び出してくるホーンの音圧:サックスやトランペットのベルから吹き出される息のスピード感と艶やかな歪み。

当時の大手スタジオが採用していた整然としたクリアな録音とは異なり、ヴァン・ゲルダーは独自のマイクセッティングや特注機材を駆使し、ジャズクラブの最前列で浴びるような生々しい熱量をそのままレコードの溝に刻み込みました。この迫力ある音作りこそ、初心者でも一瞬でジャズの魅力に引き込まれる大きな要因です。

### 3. リード・マイルスのグラフィックデザインが生んだ「時代を超越する美学」

ブルーノートの魅力を決定づけた3つ目の柱が、視覚的な美学(アートワーク)です。

アルバムジャケットのデザインを一手に引き受けたのが、天才グラフィックデザイナーのリード・マイルスでした。そして、スタジオでのミュージシャンたちの真剣な表情を捉え続けたのが、共同創設者であるフランシス・ウルフの写真です。

リード・マイルスは、ウルフが撮影したモノクロのセッション写真を大胆にトリミングし、シンプルかつ洗練されたフォント(タイポグラフィ)と鮮烈なツートーンカラーを組み合わせました。時にはアルバムタイトルを画面いっぱいに巨大化させ、時には演奏者の写真を極端に小さく配置するなど、従来のレコードジャケットの常識を覆すモダンアートを次々と世に送り出しました。

「飾っておくだけで部屋の空気が変わる」と評されるブルーノートのジャケットは、グラフィックデザイン史における最高峰の芸術作品として、今なお世界中のクリエイターに絶大な影響を与え続けています。

## 【早見表】初心者がまず聴くべきブルーノート傑作名盤7選

まずは、今回厳選したブルーノートの歴史的傑作7枚の基本情報を一覧でご紹介します。それぞれの作品が持つ個性や参加メンバー、おすすめ度をチェックして、気になる1枚を見つけてみてください。

| カタログ番号 | アルバム名 | リーダー / アーティスト | 録音年 | 主な参加メンバー | サウンドの特徴・おすすめ度 |
| :— | :— | :— | :— | :— | :— |
| BLP 1595 | Somethin’ Else | キャノンボール・アダレイ | 1958年 | マイルス・デイヴィス, ハンク・ジョーンズ | 哀愁のミュートトランペットと艶やかなアルト(★★★★★) |
| BLP 1588 | Cool Struttin’ | ソニー・クラーク | 1958年 | ジャッキー・マクリーン, アート・ファーマー | 日本人に最も愛されるブルースフィーリング(★★★★★) |
| BLP 4003 | Moanin’ | アート・ブレイキー&JM | 1958年 | リー・モーガン, ボビー・ティモンズ | ファンキー・ジャズの爆発的グルーヴ(★★★★★) |
| BLP 1577 | Blue Train | ジョン・コルトレーン | 1957年 | リー・モーガン, カーティス・フラー | 3管の迫力と若きコルトレーンの疾走(★★★★☆) |
| BLP 4031 | Soul Station | ハンク・モブレー | 1960年 | ウィントン・ケリー, アート・ブレイキー | 歌心溢れる至高のワンホーン・テナー(★★★★☆) |
| BST 84195 | Maiden Voyage | ハービー・ハンコック | 1965年 | フレディ・ハバード, ロン・カーター | 知的で浮遊感ある新主流派モードジャズ(★★★★☆) |
| BLP 4157 | The Sidewinder | リー・モーガン | 1963年 | ジョー・ヘンダーソン, バリー・ハリス | 思わず身体が揺れる8ビートジャズロック(★★★★☆) |

## ジャズ初心者がまず聴くべきブルーノート傑作名盤7選【徹底解説】

ここからは、上記の7作品について、時代背景や参加ミュージシャンのドラマ、そして具体的な聴きどころを1曲ずつ徹底的に掘り下げていきます。

### 1. キャノンボール・アダレイ『Somethin’ Else』(1958年)

ジャズ史上最も有名な名演の一つであるシャンソンのカヴァー「Autumn Leaves(枯葉)」を収録した、ブルーノートを代表する大名盤です。

名義上のリーダーは快活でソウルフルなアルトサックス奏者キャノンボール・アダレイですが、本作の音楽的イニシアチブを握っていたのは、客演として参加した帝王マイルス・デイヴィスでした。当時すでにコロンビア・レコードと専属契約を結んでいたマイルスが、アルフレッド・ライオンへの旧恩に報いるために奇跡的にブルーノートのセッションに参加したという逸話が残されています。

– パーソネル:キャノンボール・アダレイ(as)、マイルス・デイヴィス(tp)、ハンク・ジョーンズ(p)、サム・ジョーンズ(b)、アート・ブレイキー(ds)
– 録音日:1958年3月9日(ルディ・ヴァン・ゲルダー・スタジオ)
– 代表曲:「Autumn Leaves」「Somethin’ Else」「One for Daddy-O」

> 音の言語化(タイムスタンプで聴く名演)
> 「Autumn Leaves」
> 0:00〜0:35 ハンク・ジョーンズの控えめなピアノ伴奏に乗せて、マイルス・デイヴィスのハーマンミュートを装着したトランペットが哀愁に満ちた音色を空間に放つ。金属的な乾きと夜霧のような湿り気が同居する唯一無二の音色。0:36〜 のキャノンボールの肉厚なアルトサックスとの対比が鮮烈。

静寂すらも音楽に変えてしまうマイルスの研ぎ澄まされたミュートトランペットと、ブルースの情感をたっぷり湛えたキャノンボールの芳醇なサックス。この対比の妙は、何度聴いても息をのむ美しさです。

なお、『サムシン・エルス』に収録された『枯葉』の決定打については、『ジャズの名曲「枯葉(Autumn Leaves)」聴き比べ!』で各アーティストの名演と徹底比較しています。

### 2. ソニー・クラーク『Cool Struttin’』(1958年)

白と黒のハイヒールで颯爽と闊歩する女性の足元を捉えたジャケット写真でおなじみの一枚。日本のモダンジャズ喫茶ブームを象徴する作品であり、「日本人に最も愛されたジャズアルバム」として不動の人気を誇ります。

ピアニストのソニー・クラークは、黒人特有のアーシーなブルース感覚と、日本人好みのどこか哀愁を帯びたマイナーメロディを紡ぎ出す名手でした。

– パーソネル:ソニー・クラーク(p)、アート・ファーマー(tp)、ジャッキー・マクリーン(as)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)
– 録音日:1958年1月5日
– 代表曲:「Cool Struttin’」「Blue Minor」「Deep Night」

タイトル曲「Cool Struttin’」の冒頭で聴こえる、気だるくも粘り気のあるピアノのイントロ。そこに重なるアート・ファーマーの端正なトランペットと、ジャッキー・マクリーンの少しピッチが上ずった切迫感あふれるアルトサックス。リズム隊を務めるポール・チェンバースのうねるベースラインとフィリー・ジョー・ジョーンズの軽妙なシンバルワークが、心地よいスイングを生み出しています。

理屈抜きで身体が自然とリズムを取りたくなる、ハードバップの粋が凝縮された一枚です。

### 3. アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ『Moanin’』(1958年)

豪快なドラミングでバンドを鼓舞するアート・ブレイキー率いる「ザ・ジャズ・メッセンジャーズ」の金字塔。1950年代後半にジャズ界を席巻した「ファンキー・ジャズ(ソウル・ジャズ)」の決定打となった作品です。

黒人霊歌やゴスペル、ブルースのルーツを前面に打ち出し、誰もが口ずさめる親しみやすいメロディと熱狂的なビートで大衆の心を掴みました。

– パーソネル:アート・ブレイキー(ds)、リー・モーガン(tp)、ベニー・ゴルソン(ts)、ボビー・ティモンズ(p)、ジミー・メリット(b)
– 録音日:1958年10月30日
– 代表曲:「Moanin’」「Are You Real」「Along Came Betty」「Blues March」

> 音の言語化(タイムスタンプで聴く名演)
> 「Moanin’」
> 0:00〜0:25 ボビー・ティモンズのピアノの問いかけに対し、ホーン隊全員が力強く応えるコール&レスポンス。0:26 でアート・ブレイキーのナイアガラ・ロールが炸裂し、熱狂の渦へと突入する。

当時わずか20歳だった天才トランペッター、リー・モーガンの輝かしく弾けるようなソロ、テナーサックス奏者兼音楽監督のベニー・ゴルソンによる緻密なアンサンブルアレンジ、そしてブレイキーの地鳴りのようなプレスロール。聴く者すべての血を沸き立たせる、ハードバップ黄金期のエネルギーが詰まった傑作です。

なお、アルバム『モーニン』の全曲解説やコール・アンド・レスポンスの秘密、歴史的背景については、『アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ『モーニン』徹底解説!』でさらに詳しく解説しています。

### 4. ジョン・コルトレーン『Blue Train』(1957年)

ジャズの求道者であり、後世のサックス奏者全員に計り知れない影響を与えた巨人ジョン・コルトレーン。数多くのレーベルに足跡を残した彼ですが、ブルーノートに正真正銘のリーダー作として残したスタジオアルバムは、生涯でこの『Blue Train』ただ1枚のみです。

プレスティッジと専属契約を結んでいたコルトレーンが、アルフレッド・ライオンとの口約束を守るために実現させた特別セッションであり、コルトレーン自身も晩年まで「自分のリーダー作の中で最も気に入っているアルバムのひとつ」と語っていました。

– パーソネル:ジョン・コルトレーン(ts)、リー・モーガン(tp)、カーティス・フラー(tb)、ケニー・ドリュー(p)、ポール・チェンバース(b)、フィリー・ジョー・ジョーンズ(ds)
– 録音日:1957年9月15日
– 代表曲:「Blue Train」「Moment’s Notice」「Lazy Bird」

最大の聴きどころは、テナーサックス、トランペット、トロンボーンによる3管フロントの重厚なハーモニーです。タイトル曲「Blue Train」の堂々たるリフから、コルトレーンが代名詞である「シーツ・オブ・サウンド(敷き詰められた音符の嵐)」の片鱗を覗かせながら疾走するアドリブソロは圧巻の一言。若きリー・モーガンの鋭利なトランペットと、カーティス・フラーのふくよかなトロンボーンが彩りを添えます。

ジャズ漫画・映画『BLUE GIANT』でも登場人物たちの魂を揺さぶる名盤としてブルーノート作品が数多く引用されています。詳しくは『BLUE GIANTの劇中曲・元ネタ名盤まとめ!』をご覧ください。

### 5. ハンク・モブレー『Soul Station』(1960年)

偉大な評論家レナード・フェザーから「テナーサックス界のミドル級チャンピオン」と評されたハンク・モブレー。ジョン・コルトレーンのような攻撃的な鋭さとも、スタン・ゲッツのような甘美な浮遊感とも異なる、丸みと粘りのある「まろやかなトーン」が最大の持ち味です。

そんなモブレーのキャリア最高傑作と名高いのが、この『Soul Station』です。ブルーノートのアルバムとしては珍しく、管楽器がモブレー1人だけの「ワンホーン・カルテット」編成で録音されました。

– パーソネル:ハンク・モブレー(ts)、ウィントン・ケリー(p)、ポール・チェンバース(b)、アート・ブレイキー(ds)
– 録音日:1960年2月7日
– 代表曲:「Remember」「This I Dig of You」「Soul Station」

バックを固めるのは、マイルス・デイヴィス・バンドのリズムセクションとして知られるウィントン・ケリーとポール・チェンバース、そして盟友アート・ブレイキー。余計な装飾を削ぎ落としたカルテット編成だからこそ、モブレーの抜群の歌心とフレーズ作りの巧みさが際立ちます。

アーヴィング・バーリン作のスタンダード「Remember」の心地よいミディアムスイングや、「This I Dig of You」の爽快な疾走感など、最初から最後までリラックスして浸ることができる、全ジャズファン必携の隠れ王道名盤です。

### 6. ハービー・ハンコック『Maiden Voyage(処女航海)』(1965年)

1960年代半ば、ジャズは従来のコード進行に基づいたハードバップから、旋律やスケール(旋法)の響きを重視する「モード・ジャズ」へと進化を遂げました。その新主流派ジャズの頂点を飾るコンセプチュアルな名盤が、ピアニストのハービー・ハンコックが25歳で放った『Maiden Voyage(処女航海)』です。

全曲が海や海洋生物をテーマにしたオリジナル曲で構成されており、知性的で洗練されたモーダルな音空間が広がります。

– パーソネル:ハービー・ハンコック(p)、フレディ・ハバード(tp)、ジョージ・コールマン(ts)、ロン・カーター(b)、トニー・ウィリアムス(ds)
– 録音日:1965年3月17日
– 代表曲:「Maiden Voyage」「The Eye of the Hurricane」「Dolphin Dance」

> 音の言語化(タイムスタンプで聴く名演)
> 「Maiden Voyage」
> 0:00〜0:50 サスペンデッド・コードの響きが大海原の深さとうねりを描き出す。フレディ・ハバードのトランペットはクリアで力強く、波頭を突き抜けて差し込む朝日のように眩しい。

トニー・ウィリアムスの変幻自在なシンバルレガートと、ロン・カーターの波打つベースライン。大海原を航海する帆船の優雅さと、時に荒れ狂う海の厳しさを音で見事に描写した、まるで映画音楽のような芸術的深みを持つ傑作です。

### 7. リー・モーガン『The Sidewinder』(1963年)

1960年代のブルーノートにおいて、最大の商業的成功を収めたメガヒットアルバム。表題曲「The Sidewinder」は、全米のジュークボックスやラジオで爆発的なヒットを記録し、ビルボードのポップチャートにもランクイン。経営難に直面していた当時のブルーノートを救った「救世主」とも呼ばれる作品です。

本作の画期的な点は、従来の4ビートのスイングではなく、R&Bやロックの要素を取り入れた8ビートのグルーヴ(ジャズロック)を導入したことにあります。

– パーソネル:リー・モーガン(tp)、ジョー・ヘンダーソン(ts)、バリー・ハリス(p)、ボブ・クランショウ(b)、ビリー・ヒギンズ(ds)
– 録音日:1963年12月21日
– 代表曲:「The Sidewinder」「Totem Pole」「Gary’s Notebook」

ボブ・クランショウの弾むようなベースリフと、ビリー・ヒギンズの刻むタイトなビートに乗せて、リー・モーガンが切れ味鋭くファンキーなフレーズを連発。そこに若きジョー・ヘンダーソンのスモーキーなテナーサックスが絶妙に絡み合います。

「ジャズは難解で堅苦しい」というイメージを根底から覆す、理屈抜きに楽しくてノリの良いビート感は、初心者にとって最高の入門口となるはずです。

## ブルーノートを120%楽しむための「聴きどころ」ポイント

ブルーノートのアルバムを鑑賞する際、知っておくと音楽の解像度が何倍にも高まる2つの鑑賞ポイントをご紹介します。

### ルディ・ヴァン・ゲルダー(RVG)録音のシンバルとベースの生々しさを聴く

ブルーノートのサウンドを味わう最大の醍醐味は、名エンジニアのルディ・ヴァン・ゲルダーが生み出した音の「触感」と「立体感」にあります。

一般的なポップスやクラシックの録音では、各楽器の音量が均一に整えられ、綺麗にミックスされる傾向があります。しかし、ヴァン・ゲルダーの録音は違います。ドラマーがシンバルを強く叩いた瞬間の「バシャーン」と広がる金属の余韻、スネアドラムの皮が震えるアタック音、そしてベーシストが太い弦を指で力強く弾く「ズシン」という低音のうなりが、生々しいリアリティを伴って耳に飛び込んできます。

イヤホンやヘッドホンで聴く場合は、ぜひ各楽器の定位(左右のどこから音が鳴っているか)や、シンバルの高域の伸び、ベースの輪郭に耳を澄ませてみてください。まるで自分が薄暗いジャズクラブの最前列で、ミュージシャンたちの汗が飛び散るほどの至近距離で演奏を浴びているような錯覚を覚えるはずです。

なお、ルディ・ヴァン・ゲルダーが録音したブルーノートの生々しい音圧を巨大なヴィンテージスピーカーで体感するなら、『ジャズ喫茶に初めて行く人のための完全ガイド!』を参考に一度ジャズ喫茶へ足を運んでみるのがおすすめです。

### アルバム番号(BLP 1500番台、4000番台)に刻まれたハードバップ黄金期の軌跡

ブルーノートのレコードには、ジャケットやレーベル面に「BLP 1500番台」や「BLP 4000番台」といった独自のカタログ番号(型番)が振られています。熱心なジャズコレクターの間では、この番号を見るだけで「どの時代の、どんなスタイルの作品か」が瞬時に理解できる重要な記号となっています。

– BLP 1500番台(1955年〜1958年頃):12インチLPの黎明期を告げるシリーズ。マイルス・デイヴィス、ジョン・コルトレーン、ソニー・ロリンズらが集い、モダンジャズの骨格(ハードバップ)が確立された熱気あふれる時期です。今回紹介した『Somethin’ Else』(BLP 1595)や『Cool Struttin’』(BLP 1588)、『Blue Train』(BLP 1577)がこの番号帯に属します。
– BLP 4000番台(1958年〜1970年頃):アート・ブレイキー『Moanin’』(BLP 4003)を皮切りにスタートした黄金期。ファンキー・ジャズの大流行から、ハービー・ハンコックやウェイン・ショーターらによる知的な新主流派(モード・ジャズ)の台頭まで、ジャズが多様な進化を遂げた傑作の宝庫です。

カタログ番号を意識しながら聴き進めると、わずか数年の間にジャズがどのように変化し、ミュージシャンたちがどのような冒険を繰り広げたのかという歴史のダイナミズムを追体験することができます。

ブルーノートが牽引したハードバップという時代背景について詳しく知りたい方は、『5分でわかるジャズの歴史!』で全体の流れを掴んでみてください。

## まとめ:ブルーノートを起点に、無限のモダンジャズ探訪へ踏み出そう

ブルーノートは、単なる一レコード会社の枠を超え、「モダンジャズの精神そのもの」を形作った奇跡のレーベルです。

今回ご紹介した7枚のアルバムは、いずれも半世紀以上の時を経てもなお、みずみずしい輝きと情熱を放ち続けています。まずは気になるジャケットや、直感で惹かれた1曲から再生してみてください。

1. キャノンボール・アダレイ『Somethin’ Else』:哀愁の「枯葉」が沁みる奇跡のセッション
2. ソニー・クラーク『Cool Struttin’』:日本人に最も愛されたブルースフィーリング
3. アート・ブレイキー&JM『Moanin’』:血沸き肉躍るファンキー・ジャズの頂点
4. ジョン・コルトレーン『Blue Train』:3管フロントが咆哮する唯一のBNリーダー作
5. ハンク・モブレー『Soul Station』:心温まる歌心に満ちたワンホーンの極み
6. ハービー・ハンコック『Maiden Voyage』:知的で壮大な新主流派モードジャズの傑作
7. リー・モーガン『The Sidewinder』:思わず身体が揺れる痛快ジャズロック

ブルーノートの魅力に触れた後は、マイルス・デイヴィスが数々の名演を残した「プレスティッジ(Prestige)」や、ビル・エヴァンスの名盤を世に送り出した「リバーサイド(Riverside)」など、同時代にしのぎを削った他レーベルの作品へと視野を広げていくと、ジャズの楽しみは無限に広がっていきます。

ブルーノート以外の名門レーベルを含めたジャズ全体の王道名盤を知りたい方は、『初心者がまず聴くべきジャズ名盤10選!』もあわせてチェックしてみてください。

### 高音質ストリーミングやアナログレコードで楽しむブルーノート

現在、ブルーノートの主要カタログは、Apple MusicやAmazon Music Unlimitedなどの高音質音楽サブスクリプションサービスにおいて、ルディ・ヴァン・ゲルダー自身がリマスタリングを手がけた「RVGエディション」などのハイレゾ音源が多数配信されています。スマートフォンと高音質イヤホンがあれば、いつでもどこでも当時の熱狂的なスタジオの空気を味わうことができます。

– Apple Musicでブルーノートの名盤ハイレゾ音源をチェックする
– Amazon Music UnlimitedでRVGリマスター音源を体験する

また、リード・マイルスが手がけた美しいアートワークを原寸大で堪能したい方には、紙ジャケット仕様のCDや、重量盤の復刻輸入アナログLP(Blue Note Classic Vinyl Seriesなど)も大変人気があります。部屋に飾り、レコードに針を落として珈琲やお酒とともに音に身を委ねる時間は、何物にも代えがたい大人の贅沢です。

– Amazonでブルーノート公式アナログLP・紙ジャケットCDを探す

ぜひあなただけのお気に入りの1枚を見つけて、豊かなジャズのある暮らしをスタートさせてみてください。

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